ここ数年で急速に普及したキャッシュレス決済。クレジットカード、QRコード決済、デビットカード、交通系ICカードなど、様々な決済手段が確立されているわけだが、利用するのであれば、利便性とともにセキュリティ面にもこだわりたいところだ。そんな中、券面にカード番号をはじめとした個人情報の表記が一切ないクレジットカード「ナンバーレスカード」が、にわかに注目を集めている。
このナンバーレスカードの日本第一号「SAISON CARD Digital」を手掛けたのが、「セゾンカード」で知られる大手クレジットカード会社のクレディセゾンだ。同カードはどのような経緯で誕生し、利用者にどんなメリットをもたらすのか。
今回、セゾンカードデジタルの担当である、ペイメント事業部 戦略企画部 課長の土肥陽介さんに、J-WAVEナビゲーターの山中タイキがインタビューをおこなった。
「クレジットカード=なんとなく怖い」印象を払拭するために
現在、数多くの企業が展開しているナンバーレスカード。その先駆けとなるSAISON CARD Digitalが提供開始されたのは、2020年11月24日のことだった。土肥:突然ですが、山中さんは初めて自分のクレジットカードを持ったのはいつでしたか?
山中:18歳のときです。ちょうどアメリカの大学へ留学するタイミングで、当時から既に海外では圧倒的にクレジットカード文化だったこともあって、作ることにしました。
土肥:そうだったのですね。私たちが提供しているSAISON CARD Digitalも、そういったクレジットカードを初めて利用されるような若い方にも選んでいただきたいという思いで開始したサービスでして。
山中:日本初のナンバーレスカードだそうですね。そもそも、このサービスをリリースするに至ったきっかけは何だったのですか?
土肥:おっしゃる通り、ナンバーレスカードは当社が国内においてどこよりも早く始めたサービスですが、その直後から他社様も同様のプロダクトを展開し、もはやスタンダードなものになっているというのが現状です。
私たちがサービスをリリースするに至ったきっかけとしては、メディアの報道やSNSなどの影響により近年、若年層の間で「クレジットカード=なんとなく怖いもの」というイメージが広がっているのではないかと、危機感を持ったことが大きかったです。なぜ「怖い」と感じるのか。若い方たちとの対話を重ねる中で、クレジットカードの券面に記載されたカード番号を悪用される危険性があることが、その原因の一つではないかと考えました。
山中:たしかに、カード番号って重要な個人情報ですし、その情報が何かのきっかけで良からぬ考えの人に知られたら一大事ですもんね。
土肥:そうなんです。そこで私たちは、今まで券面にあるのが当たり前とされていたクレジットカード番号について「それってそもそも必要だっけ?」と疑うところから始めました。そして「なくてもいいのではないか」という結論に至り、番号の見えないクレジットカードを新たに作ることにしたのです。これさえ持てば、万が一紛失しても安心――。そんなメッセージを伝えたくて、SAISON CARD Digitalを企画しました。
山中:なるほど。ほかにもSAISON CARD Digitalを開発する上でこだわった点などありますか?
土肥:最短5分でデジタルカードを発行できるようにしたことですね。「買い物をしたい」「サブスクを契約したい」など、若い方たちが抱く、サービスや商品を「欲しい」という気持ちをすぐに叶えてあげたいというか。購買への熱量を逃がさないサービスにしたかったんです。

アプリとの連動で広がる可能性。緊急時も役立つ機能
SAISON CARD Digitalでは、デジタルカードがスマホ上で即時発行されたのち、プラスチックカードが自宅へ郵送されるようになっている。プラスチックカードの券面には、クレジットカード番号のほか、セキュリティコード、有効期限などが明記されていない。
土肥:そうなんです。裏面にはインフォメーションセンターへの問い合わせ番号が記載されていますが、決済に繋がる個人情報は一切表示されていません。それらはどこにあるかというと、お客様のスマホ上です。当社が提供する「セゾンPortal」アプリをダウンロードし、会員向けインターネットサービス「Netアンサー」への連携により、アプリ上でカード番号や有効期限、セキュリティコードなどの個人情報を閲覧することができます。
山中:「セゾンPortal」アプリでは、個人情報を確認する以外に、どんなことができるのでしょうか?
土肥:プラスチックカードの到着を待たずにアプリ上でカード情報を確認できるため、オンラインショップでのご利用が可能ですし、非接触決済に設定することで、QUICPay™(クイックペイ)加盟店での店頭支払いにもご利用いただけます。もちろん利用明細・残高・引き落とし金額の確認、ポイントの交換、登録内容の変更なども可能です。また、カードご利用時には、24 時間ほぼリアルタイムでご利用内容をPUSH 通知が送られます。

土肥:私たちが目指したのはまさにそこで。プロダクトのメインターゲットである若年層の生活スタイルを見ると、財布やカバンを持たずにスマホだけ携えて出掛ける人も珍しくありません。だからこそ、スマホ一台で完結できるようなサービスを心がけました。
山中:個人的には、アプリで今どれだけの金額を使っているか、残高がどれくらいあるかをいつでもチェックできるのは、すごく有難いです。やっぱり、気が付くと結構使っちゃってる月とかもあるので(笑)。
こうした普段使いのときだけでなく、緊急時にも「セゾンPortal」アプリは活躍すると、土肥さんは続ける。
土肥:万が一プラスチックカードをなくしてしまった場合、カードの不正利用を防ぐために一時停止し、見つかったら再開……といった手続きもアプリ上で行うことができます。
山中:それは素晴らしい!
土肥:クレジットカードって紛失すると、本当に大変じゃないですか。カード会社に電話しなければならないのに、なかなか繋がらないことも多々ありますし。
山中:僕も経験があります。一度、アメリカから帰国する飛行機の中で財布ごとなくしてしまったことがありまして……。
土肥:えっ、飛行機の中で?
山中:はい。フライト中、カバンを開けたままトイレに何度か行ったのですが、飛行機を降りてから、財布がないことに気付いたんです。慌てて飛行機の機内を探してもらっても結局、どこにも見当たらず…。おそらく飛行機の中にいた誰かに盗まれたのではないかと思います。
土肥:それは災難でしたね……。
山中:いやほんとに。財布には複数のカードが入っていたから、数社に利用停止の電話しなければならなかったのですが、そもそも電話番号がわからなくて、すごく苦労したのを覚えています。ですから、いざというとき、スマホさえあればそういった手続きをサクッと済ませられるのは、ユーザーとして非常に心強いですよね。

“一人ひとりの需要”を検討し、サービスを広げていく
ここからは、クレジットカードにおけるデザインの話題へと移っていく。山中:クレジットカードのデザインってすごく大事じゃないですか? 僕自身、カードを発行するとき、柄やデザインなど複数の選択肢があると悩んじゃうんですよね。
土肥:その気持ち、私もわかります。カード会社はどこもそうですが、当社もお客様のお財布の中でいかに生き残り、長く使っていただける一枚を提供できるかに心血を注いでいて、そのため、クレジットカードのデザインにもこだわっています。SAISON CARD Digitalのプラスチックカードは基本的に白い券面を採用して、財布に入れるとロゴが少し見えるスタイリッシュなデザインです。一方、「セゾンPortal」アプリ上では、デジタルカード券面の “着せ替え”ができるようになっているんです。
たとえば、カラーを変えるのはもちろん、長年サポーティングカンパニーを務めるサッカー日本代表のユニフォームデザインに変更することも可能です。あとは提携先企業様とのコラボレーション企画として、様々な限定デザインを不定期で展開しています。少し前に、某アイドルグループさんとコラボしたときなどは、“推しメン”の着せ替えを選べるようにしましたね。
山中:デジタルカードの着せ替えであれば、スマホの待ち受け画像みたいに、気分に合わせてデザインを変えられるからいいですね。それに、自分好みのデザインをあしらったカードだと、お買い物しようという意欲が高まりそう。
また最近では、独創的なデザインのプラスチックカードも開発したという。
土肥:当社では9月12日より、「セゾンゲーミングカードDigital」というカードの募集を開始しておりまして。
山中:ゲーミングカード?
土肥:はい。名前の通り、「ゲームするならセゾンゲーミングカード」をコンセプトにした、ゲーマーの方におすすめしたいSAISON CARD Digitalです。このカードは、2020年12月にリリースした「セゾンゲーミングカード」をリニューアル、及びデジタルカード化したプロダクトになります。デザイン面での特徴は、券面中心に描かれたキューブの立体感を際立たせる次世代型ホログラム「リップマンホログラム」を搭載していること。緑色のキューブがキラキラと光るビジュアルは、ゲーミングアイテムの機械的な輝きや、ゲームの立ち上げときの3D感を意識したもので、「このデザインであればゲーマーの心が揺れる」という一枚を目指しました。さらに、毎日のお買物で貯まったゲーミングコインを、iTunesのカードやゲームギフトコードといった、ゲームと関連性のあるアイテムを交換できるというメリットもあります。

このように、多角的な展開を見せるSAISON CARD Digitalだが、クレディセゾンが見据える今後のビジョンはどんなものなのか。最後に山中が聞くと、土肥さんは次のように答えた。
土肥:現在は価値観が多様化している時代です。だからこそ私たちクレディセゾンは、グループ全体を「総合生活サービスグループ」と位置付け、万人の皆様に……というよりは、お客様一人ひとりの需要や困りごとと向き合い、しっかりと対応していくことを目指しています。そして、その取り組みの一つである「SAISON CARD Digital」を、今後とも若い方たちの需要・価値観をくみ取り、「クレカ=怖い」といったマイナスイメージを払拭しつつ、長く愛されるサービスへ育てていきたいと思います。
(取材・文・撮影=小島浩平)
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September 17, 2022 at 05:38PM
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