
海藻などが吸収して蓄える二酸化炭素(CO2)由来の炭素「ブルーカーボン」が注目されている。地球温暖化対策の脱炭素はもちろん、生態系保全にもつながるからだ。唐津市では本年度、森林の「グリーンカーボン」を合わせた「カーボンクレジット創出事業」に着手。地域資源の保全や再生、活用の循環を生み出せるか。今後の取り組みに注目したい。
「ブルーカーボン」は2009年の国連環境計画(UNEP)の報告書で、吸収源の新しい選択肢として示された。海草・海藻の藻場、湿地・干潟、マングローブ林などだ。政府は今年1月、海草・海藻の吸収量を世界で初めて算出し、2022年度の国内は約35万トンと算定している。
CO2など温室効果ガスの排出削減量を売買できる仕組みのカーボンクレジット。唐津市は本年度、可能性を探るポテンシャル調査などを実施し、「ブルー」は沿岸3地点を予定している。来年度は関係者と事業内容などを決め、再来年度以降に実証事業を始め、結果を受けた後のクレジット認証、取引開始を目指す。「グリーン」は本年度、先行事例などを踏まえて事業を検討する予定だ。
本格的な動きはこれからだが、市内では既に実績がある。国認可の団体が20年度に創設した「Jブルークレジット」制度があり、鎮西町では地元の海士(あま)たちが減少していた藻場再生に長年取り組み、22年度に県内で初めてクレジット認証された。肥前町でも本年度、面積要件をクリアした上で申請する予定の取り組みがある。
藻場の海藻がなくなり岩場が露呈する「磯焼け」は全国で深刻化している。藻場はCO2を吸収するだけでなく、水質の浄化や魚類の産卵、稚魚の餌場など生物多様性を支えている。クレジット売却で得た資金を保全や再生活動に充てることができ、海の豊かさを取り戻すことにつながる。「循環と持続」である。
これらカーボンクレジット創出事業をはじめ、唐津市が各種施策の根幹に位置づけるのが「地域循環共生圏」だ。市環境基本計画に織り込み、本年度から3年間の環境省の「支援体制構築事業」にも選ばれた。共生圏が目指す姿を要約すると「地域資源を活用して環境、経済、社会を良くしていく事業を生み出し、課題を解決し続けて自立した地域をつくる」となる。
市は中間支援団体とともに、構成する団体や企業などを選定し、地域プラットホームづくりに乗り出している。市環境課は「この土台をしっかりつくり、クレジット創出事業などにも生かしていきたい」とする。広く周知し、理念や方向性を共有して取り組めるかが鍵を握るだろう。
環境省の発表によると、22年度の温室効果ガス排出量はCO2換算で前年度比2・5%減の11億3500万トン、吸収量は同6・4%減の5020万トン。吸収量を差し引いた排出量について、政府は30年度に13年度比で46%減らす目標を掲げるが、まだ22・9%減の10億8500万トンとなった。50年までにゼロにする目標の達成はおぼつかない。
地球的規模からすれば地域の取り組みは微小かもしれないが、持っている資源、環境価値を企業に売る時代。昨年改訂された市環境基本計画では「海・山・川と人が響きあう唐津」をうたう。持続可能な地域づくりに向けて知恵を出し、地域一体となって未来に進んでいきたい。(松田毅)
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May 07, 2024 at 03:15AM
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